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【大学教員】が教えたい コロナ禍前後の【授業スタイル】予想

自己紹介のとおり,大学で研究室を運営しています。 今回はコロナ禍後のほんの少し先の授業予想を投稿します。

大学の教員目線でアドバイス 

大学閉鎖に関しては,いろいろと思うところがありますが,県をまたぐ可能性が高い大学生においては、今回の感染症および「これからの感染症対策」としても大学閉鎖にともなう遠隔授業の実施が今後も行われると思います。

早く元の生活に戻ることを切に願うばかりです。

さて,コロナ禍において遠隔授業を提供した側の意見として,遠隔授業に限っては,必ずしも【悪いもの】ではありません

これは学生の授業改善アンケートからも明らかです。実際のアンケート結果を▼下記に公開▼しますが、私の受け持つ授業は評判が良かったです。iPadミラーリングによる手書きの板書もオンライン授業で提供していました。

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オンライン授業のメリットとデメリット

メリット

  • 移動による遅刻リスクの軽減
  • オンデマンド授業(録画タイプ)の何度も視聴できる
  • 私語がなく,集中できる
  • 教員に質問しやすい
  • 教材がわかりやすい

デメリット

  • 対面授業ならではの「ライブ感」は弱い
  • 同級生がいないので集中できない
  • 学生間の授業スタイルが難しい
  • 録画タイプは先生とコミュニケーションがとりずらい
  • 通信環境に非常に左右される

実際,理解度など成績に関しては全体的に去年以前より良いと感じています。SNSにある【遠隔授業において大学教員は何をすべきか,何をしたいかについて知恵と情報を共有するコミュニティ】でも,各大学で「昨年度より成績が上がっている」といった意見が多くみられます。

完全に【対面授業】になるということはオンライン授業のこれらのメリットがなくなるのも事実です。特に,自分のペースで修学できるというメリットは活かしていきたいと個人的には考えています。

ただ、デメリットにあるように大学サイドではどうしようもできないインターネット環境によって就学に差がつく。場面がたくさんあったのも事実です。

  • Liveの遠隔授業で講義終了までお家のネット環境が悪くつながっては切れる学生
  • 自室ではネット環境が悪くリビングでやっている学生(後ろで生活音がするのか?いつも積極的な学生が沈黙)
  • LIVEビデオに耐えられないネット環境(PC環境)

そこで、コロナ禍前後の授業スタイルを簡単にまとめておきます。

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・オンライン授業の種類

感染症対策としては,コロナ禍後にもオンライン授業が対策方法として選択される可能性が非常に高いと考えています。また,今回強制的に始まったオンライン授業を体験した先生たちは「結構,オンライン授業いいものですね」と感じています。

これは,これまでの対面だけの授業だけではなくオンライン授業を混ぜ合わせた「反転授業」なども行うことで,【大学での学び】はさらに良いものになると考えています。

さて、「オンライン授業」と言っても、ざっくりと【3種類】の授業の形があります。

   ① 録画された講義の動画視聴(オンデマンド授業)

   ② 時間指定のLive配信型授業 

   ③ ビデオ通話システムを利用した双方向授業

講義資料だけをアップロードして学生に自学自習させる対応をあったようですが言語道断です。是非とも各大学で実施している【授業改善アンケート】でクレームを書くべきです。私が授業で学生によく言うセリフがあります。

簡単な授業で得するのは「先生」損するのは「学生」です。単位をとるための授業は時間の浪費です。学問は面白いんですよ。

 

例えば、反転授業は、①で予習(自学自習)した後に,個別の生徒に合わせて授業を展開したり,予習しているものとして授業を発展的に進めたりします。予習復習が就学に効果があることは色々な研究から明らかです。

予習した後の反転授業としては,リアルタイム遠隔授業(③)あるいは対面授業のどちらでも実施することができます。

オンライン授業では,事前に書き込む資料を配布したり,机にノート等を広げて板書を写させたり画面を視聴しながら授業を受けるのが一般的です。

学生さんに聞いたところ大雑把に2種類の受講スタイルがあります。

  1.パソコンで視聴しながら受講する。

  2.携帯やタブレットで視聴しながら受講する。

※携帯で90分授業を視聴するのは大変なので,お家のネット環境を見直してください。

・コロナ禍後の授業スタイルについて

さて,2021年度の各大学の授業スタイルは様々です。これまで通り,オンライン授業を行う大学や対面授業を謳う大学とあります。個人的な意見ではありますが,大学に登校できないことによる同級生や先輩との新たな出会いがほとんどなかったことは,教員として子どもをもつ親としてもその悲しい気持ちは非常によくわかります。

場の提供の公平性を考えなければ,学部1年生や研究室・ゼミに所属する学部4年生(修士・博士含)など学年によって優先度を変えるのも良いかもしれません。前述のとおり,授業だけを考えれば,オンライン授業は就学意味のおいては効果があることはわかってきています。対面授業を経験済みの大学生にとってはコロナ禍終息後でもオンライン授業を継続してほしいというアンケート結果もあります。

否応なく始まったオンライン授業ですが,大学教員もそのメリット・デメリットは深く理解しました。今後,対面授業が始まる過程で,反転授業が多くなるのではないかと予想しています。このスタイルは,コロナ禍後の次のウィルスに対しても対応できます。これまでに培ってきたオンライン授業のスキルを落とすことなく対面授業に活かすことで,コロナ禍前以上に【高い質の講義】を提供できます。

 

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